海外資産
令和7年度の海外資産の税務調査
毎年7月になると、税務署の新事務年度が始まり、税務調査の動きが本格化します。
令和7年度も、昨年度に引き続き、無申告の海外資産に対する税務調査が重点的に実施されることが予想されます。今回は私が実際に関与した令和6年度の調査事例も踏まえて、今年度の傾向と対応策について解説します。
1.CRS・海外送金情報を端緒とした調査は継続
ここ数年と同様に、CRS(共通報告基準)情報や海外送金情報が調査の端緒となるケースが多く見られます。特に、プライベートバンク、海外信託、海外資産管理会社などを利用した、いわゆる「スキーム型海外資産」への関心が、税務当局において一層高まっています。
また、CFC税制(タックス・ヘイブン税制)の適用漏れや為替差益の未申告についても、調査の対象となる傾向があります。
2.「無申告」のリスクがさらに増加
税制改正により、高額・継続的な無申告事案に対して、無申告加算税の加重措置が導入されました。この改正は、令和6年1月1日以降に申告期限を迎える国税(例:所得税は令和5年分以降)に適用されており、昨年度の税務調査にて早速適用されたケースも見られます。
<主な改正点>
・納税額300万円超の部分に対する無申告加算税率を30%へ引き上げ
・前年・前々年ともに無申告だった場合、3年目の無申告加算税を10%加重
<ケーススタディ>
これまで海外所得を無申告、また、海外資産の開示なし。
無申告加算税の適用税率(納付すべき税額×○○%)
年度 | 自主的な申告 | 税務調査後の申告 |
---|---|---|
令和2・3・4年 | 5%(調書提出で0%) | 約25%(原則20%+調書未提出5%) |
令和5・6年 | 5%(調書提出で0%) | 約45%(原則30%+3年連続無申告10%+調書未提出5%) |
<今後のリスクと対応策>
今年度の税務調査では、原則として過去5年間(令和2年~令和6年)が対象となります。特に、令和5年・令和6年分については、無申告加算税の厳罰化が適用されるため、税務調査が始まる前に、自主的な申告を行うことが重要です。
3.まとめ
令和7年度の税務調査でも、無申告の海外資産を軸にした調査強化が続くと見られます。海外所得の確定申告をしていない、あるいは、海外資産について国外財産調書を提出していない方は、自主的な申告開示がリスク回避の鍵となります。
心当たりのある方は、できるだけ早期に専門家へご相談されることを強くおすすめします。
当コラムは2025年6月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。
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